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奈良・元興寺で江戸中期に製作された紙の地蔵像を公開

 世界遺産の元興寺(奈良市)は8月23日、18世紀前期に製作されたとみられる紙製地蔵菩薩立像を初公開した。紙製の地蔵像は全国的にも珍しく、現在、境内の収蔵庫で常設展示されている。
 元興寺文化財研究所によると、地蔵像は頭部や脚、台座などがばらばらの状態で残されていたが、このほど、修復と調査を終えて公開に踏み切った。
 像の高さは台座を含め63・5センチ。紙を貼り合わせて張り子状とし、粘土製の型から作られたとみられる。紙には墨書の跡があり、使い終えた帳面などの紙が再利用されている。当時貴重品だった紙を新品のまま材料に使ったとは考えにくいという。手の甲と足先、台座み部分のみ、木が使われている。
 また、X線透過撮影により、木製小型の地蔵菩薩像17体が胴体部前面に埋め込まれていることが判明。さらに、内部には享保の年号や女性の戒名などが記された紙札が納入されていたことから、江戸中期の女性が主体になって作ってもらったとみられる。
                               (紙之新聞


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