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故栗原とく氏の社葬に1100人が参列

 「私のお墓の前で泣かないで下さい、そこに私はいません、眠ってなんかいません。千の風に、千の風になって…」。イタリアで活躍する故人の孫で声楽家の栗原利佳さんの歌声が、東京都台東区の寛永寺輪王殿の葬儀会場に響き渡る。会葬者は会場内外に1100人。
 去る6月3日に98歳で死去した栗原紙材椛n業者・故栗原三郎氏の妻で、元取締役の故栗原とく氏の社葬が6月15日午後1時半から執り行われた。
 最初に、芳賀義雄・日本製紙社長が、故人は大正5年7月に佐原市の名門紙文具卸商問屋の三女として生まれ、まだ進学が希少な時代に千葉県立佐原高等女学校に進み、昭和11年11月、20歳で創業者・栗原三郎氏に嫁ぎ、二人三脚でわが国随一の名門製紙原料問屋を築き、全国の原料業界の理事長として活躍し、叙勲褒章の栄にも浴している長男正雄氏を育てたと弔辞を述べた。
 続いて、大坪清・レンゴー社長の弔辞を長谷川一郎副社長が代読。故人は昭和13年3月、三郎氏の製紙原料商設立を支え、長女を亡くし、昭和20年に夫が徴兵される中、4人の子を守り、戦後の昭和27年3月、栗原三郎商店を再び設立し、今日の礎を築いた。昭和57年に交通事故に遭い、3ヵ月のリハビリで快復、「業界を思い遣り、愛情深く、不撓不屈の精神あればこそ」と述べた。
 社員・従業員を代表して福田喜一・ひたちなか事業所長が、リヤカー1台から栗原商店を立ち上げ、今日まで76年、社員・従業員280人に出会いの場を作っていただいた。「心の支えだった良き母、優しいお婆ちゃん、さようなら」とお別れした。

                              紙之新聞


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