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紙の博物館で製法技術を復元した「金唐紙展」開催中

 「金唐紙展」−上田尚作品展−が6月1日まで、紙の博物館(花田心弘館長)で開催されている。主催は紙の博物館。共催は金唐紙研究所、金唐紙友の会。
 革に型押しや彩色を施した「金唐革」を和紙で摸した「金唐革紙」は、壁紙として明治期に盛んに輸出され国内外の建築物に用いられたが、次第に需要が減少し昭和中期に製法が途絶えた。その技術を「金唐紙」として蘇らせたのが上田尚氏。
 今回は、上田氏が80歳を迎えたことを記念して展示されている。
 上田氏は、重要文化財「旧日本郵船小樽支店」の修復事業をきっかけにし、秋田県大仙市の「旧池田氏庭園洋館」、長野県岡谷市の「旧林家住宅」など全国6ヵ所の重要文化財の修復事業に携わっている。
 展示されている「花と曲線文様」は旧岩崎邸庭園の壁紙の復元。エンボス加工で膨らんだ花が金色に彩られ、背景のエメラルド・グリーンはいかにも欧風な印象だ。
 呉市人船山記念館の壁紙を復元した「草花と昆虫」は同様に金色の昆虫や花が繊細に描かれ、濃いグリーンは和風なイメージ。移情閣の壁紙を復元した「花唐草文様」は、シンプルで深いグリーンが中国風な趣だ。
 紋様を製作するために用いられる所蔵の版木棒130本には桜の木が使われ、同館で管理。上田氏は、デザインによって使い分けている。
                               (紙之新聞


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